今回は、前回の続き、研究開発税制について見ていきたいと思います。製造業において研究開発は成長するために欠かせない活動であり、新しい価値を生み出す源泉となるため、税制上も優遇されています。
研究開発税制は、「試験研究費の総額に係る税額控除制度」、「特別試験研究に係る税額控除制度」、「中小企業技術基盤強化税制」及び「試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度」の4つの制度によって構成されています。
今回のコラムでは、「中小企業技術基盤強化税制」について見ていきます。
「試験研究費の総額に係る税額控除制度」、「試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度」「特別試験研究に係る税額控除制度」については、前回のコラム「(研究開発税制 その1)「試験研究費の総額に係る税額控除制度」など3つの制度について」をご覧ください。
「中小企業技術基盤強化税制」とは?
【概要】
その事業年度において損金の額に算入される試験研究費の額がある場合に、その試験研究費の額の12%の金額をその事業年度の法人税額から控除することができる制度です。
控除できる上限は法人税額の25%です。
ただし、この制度は前回ご説明した、「試験研究費の総額に係る税額控除制度」との重複適用はできません。
なお、「試験研究費の額が増加した場合等の税額控除制度」が併設されており、上記とは別枠で、試験研究費の増加額に応じた税額控除が可能となっています。税額控除額は増加した試験研究費の5%となっています。控除できる上限は法人税額の10%です。
【適用対象法人】
青色申告書を提出する中小企業者又は農業協同組合等です。
中小企業者とは基本的に資本金が1億円以下の法人です。
中小企業者については、こちらの税制を選択することが有利となりますので、是非ご活用ください!
上記の税制優遇措置を受けるためには、研究開発活動にかかる支出を適切に管理しておく必要があります。
試験研究費の額とは、製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究のために要する原材料費、人件費及び経費のほか、他の者に試験研究を委託するために支払う費用などの額をいいます。
ただし、試験研究に充てるために他の者から支払を受ける金額がある場合には、その金額を控除した金額が試験研究費の額となります。
特に人件費に関しては、研究開発プロジェクトでの役割の明確化や実働時間の管理などに留意する必要があります。
適切な管理をするコストに見合う効果のある税制ですので是非ご活用ください。