給与計算のポイント(1) 賃金支払いの5つの原則

給与は毎月決まった日に、給与明細書どおり決まった金額が自分の口座に振り込まれてくるのが当たり前と思っている方が多いと思いますが、例えば、「今月は会社の資金繰りが厳しいから、いつも20日に支給していた給与を月末に支払う。」と、会社が一方的に決めたらどうでしょうか。毎月27日に支払っている住宅ローンの返済が今月はできなくなるという事態も考えられます。
給与は受け取る従業員にとって、生活の基盤になるもので、何より安定的かつ確実な受取が求められます。そこで、給与が従業員にきちんと支払われるよう、5つのルールを労働基準法で定めています。

賃金支払いの5原則とは?

(1) 毎月払いの原則
給与は、毎月1回以上支払わなければならない。
つまり、今月は会社が赤字だからといいて、翌月に2か月分をまとめて支払うことはできません。
ただし、賞与や退職金など臨時に支払われる賃金は含まれません。
(2) 一定期日払いの原則
給与は毎月一定の日に支払わなければならない。
20日ごろに支払うなど期日指定がない場合や、毎月第3金曜日に支払うなど月によって期日が違う場合は認められません。
ただし、月末払い(30日または31日または28日)は認められています。
(3) 全額払いの原則
給与は、支給額全額を支払わなければならない。
ただし、個人負担の社会保険料など別に法律で給与から控除することが定められている場合や労使合意に基づく労働組合員の控除などの場合はこの限りではありません。
(4) 直接払いの原則
給与は、直接従業員本人に支払わなければならない。
たとえ従業員の親や奥さんが代理人であっても認められません。ただし、本人が病気中などやむを得ない場合で、本人の親や奥さんが単に給与を会社に受取りに来た場合などに支払うことは可能です。
(5) 通貨払いの原則
給与は、通貨で支払わなければならない。
手形や小切手で支払うことも、会社で販売している商品などで代替することはできません。

もし違反すると…

これら5つの原則は非常に重要で、違反した場合には、30万円以下の罰金が課せられます。
給与計算は税理士または社会保険労務士など専門家に相談しましょう。

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