(個人事業向けの節税対策 その2)「小規模企業共済」を検討してみよう

「小規模企業共済」とは、小規模な個人事業主や法人の役員等が退職したり事業を廃止した場合に備える共済制度です。
退職時、解約時に積み立てた掛金に応じた共済金を受け取ることができます。

メリットとデメリットは?

メリット

  • 掛け金が全額損金(税務上の費用)として認められます。(節税効果を有します)
  • 解約、退職時は受け取った金額は全額益金(税務上の利益)となりますが、退職所得扱いとなりますので、個人事業主であれば事業所得に比して大幅に税額が低くなります。法人経営者の場合でも給与所得に比して大幅に税額が低くなります。
  • 解約金が掛け金納付期間に応じ最大120%が戻ってくる。(ただし、掛け金納付期間が短いと元本割れの可能性があるため注意が必要)
  • 「契約者貸付制度」があるため、資金繰りに困ったときに、積立掛け金の範囲内で融資をうけることができる。

デメリット

  • 期間が短い(20年未満)と元本割れとなることに留意が必要である。したがって慎重にシミュレーションをした上で加入を検討する必要がある。
  • 掛け金の上限があるため(7万円/月)最大84万円しか損金とならないため、節税効果に一定の枠がある。
  • 一定規模を超えると新規に加入ができなくなる。

節税効果のシミュレーション

ここで、個人事業所得1200万円の方が毎月7万円を20年間積み立てた後解約の場合とそうでない場合の比較を見てみましょう。

積み立てた場合

1〜19年目
課税標準 10,780,000 1,200万円-84万円(7万円×12か月)
-38万円(基礎控除)
税額 3,599,300 所得税及び復興税 2,063,800円
住民税 1,080,500円
事業税 455,000円
20年目
事業所得 10,780,000
税額 3,599,300
退職所得 4,400,000 (1) 84万円×20年=1,680万円(解約金 ※増加分考慮せず)
(2) 40万円×20年=800万円(退職所得控除)
(3) ((1)-(2))÷2
税額 902,002 所得税及び復興税 462,002円
住民税 440,000円
税額合計 4,501,302

1〜20年目税額合計:72,888,002円

積み立てなかった場合

1〜20年目
課税標準 11,620,000 1,200万円-38万円(基礎控除)
税額 3,966,300 所得税及び復興税 2,346,800円
住民税 1,164,500円
事業税 455,000円

1〜20年目税額合計:79,326,000円

上記より、20年分の税額を比較すると、79,326,000円-72,888,002円=6,437,998円の節税効果を有すると想定されます。

「小規模企業共済制度加入」の要件

  • (1)建設業、製造業、運輸業、サービス業(宿泊業・娯楽業に限る)、不動産業、農業などを営む場合は、常時使用する従業員の数が20人以下の個人事業主または会社の役員
  • (2)商業(卸売業・小売業)、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)を営む場合は、常時使用する従業員の数が5人以下の個人事業主または会社の役員
  • (3)事業に従事する組合員の数が20人以下の企業組合の役員や常時使用する従業員の数が20人以下の協業組合の役員
  • (4)常時使用する従業員の数が20人以下であって、農業の経営を主として行っている農事組合法人の役員
  • (5)常時使用する従業員の数が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員
  • (6)上記(1)(2)に該当する個人事業主が営む事業の経営に携わる共同経営者(個人事業主1人につき2人まで)

(独立行政法人中小企業基盤整備機構のHPより引用)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です