(法人向けの節税対策 その1)「保険商品・倒産防止共済」を検討してみよう

「倒産防止共済」(経営セーフティ共済)とは取引先の予期せぬ倒産による「連鎖倒産から中小企業を守る制度」です。取引先が倒産して売掛金債権等が回収困難となったときに共済金の貸付けが受けられます(最大8000万円、回収困難等になった債権と掛け金総額の10倍の少ない額を限度として)。「保険商品」を利用した場合も節税効果という面では同様の効果を得ることが出来ます。

「倒産防止共済」による節税の効果

掛け金は全額損金、個人事業の場合は必要経費(税務上の費用)となります(掛け金最大20万円/月、掛け金総額800万円まで)。また解約手当金(任意解約、法人解散、事業廃止等により受取)は、受取時に法人の場合は益金(税務上の収益)、個人事業の場合は事業所得の収入となります。したがって、課税を繰り延べる効果があります。

法人・個人事業の場合とも赤字となりそうな事業年度に解約金を受け取ることで決算対策・節税対策が可能となります。さらに法人の場合は、退職金の支給年度と同一の年度で解約手当金を受け取ることより節税効果を高めることもできます。

前納制度があり、1年以内の掛け金の前納については12か月分まで支払事業年度の損金(もしくは必要経費)として税務上処理することができます。

節税効果をシミュレーションしてみます

年間利益1200万円出ている会社が倒産防止共済を掛け金20万円を800万円になるまで積立てた後、5年後に役員の退職金を800万円支給すると同時に倒産防止共済を解約した場合と、加入せずに5年後に役員の退職金を800万円支給した場合

倒産防止共済に加入している場合

課税標準(円) 税額(円)
1年目 9,600,000 2,480,000
2年目 9,600,000 2,480,000
3年目 9,600,000 2,480,000
4年目 11,200,000 3,040,000
5年目 12,000,000 3,320,000
合計 13,800,000

※1 課税標準1200万円-240万円(20万円×12か月)=960万円
4年目は1200万円-80万円(20万円×4か月)=1120万円
5年目は1200万円-800万円(役員退職金)+800万円(倒産防止共済解約金)=1200万円
※2 税額は年800万円以下の所得については24%、年800万円超の所得については35%の法定実効税率で計算している。

倒産防止共済に加入していない場合

課税標準(円) 税額(円)
1年目 12,000,000 3,320,000
2年目 12,000,000 3,320,000
3年目 12,000,000 3,320,000
4年目 12,000,000 3,320,000
5年目 4,000,000 960,000
合計 14,240,000

※1 課税標準5年目:1200万円-800万円(役員退職金)=400万円
※2 税額は年800万円以下の所得については24%、年800万円超の所得については35%の法定実効税率で計算している。

上記より、14,240,000円-13,800,000円=440,000円の節税効果を有していると想定されます。

「保険商品」による節税の効果

「保険商品」を利用した場合も節税効果という面では同様の効果(課税所得の繰延効果)を得ることができる保険商品があります。「倒産防止共済」に比して、メリットは掛け金に上限がないことですが、デメリットは解約返戻率が低くなる場合があるということになります。

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