事業者規模別で比較する、税法上の「交際費」の扱いについて

顧客との飲食などは、営業活動を行う上で、欠かすことができないものです。
しかし、企業の交際費の支出を無制限に認めたのでは、接待を目的とした飲食などの経費を計上することで、法人税の負担がいくらでも軽減されることになってしまいます。それでは、税収を確保することも難しくなります。また、浪費とも考えられる接待交際費の支出は抑制することが政策的に望まれます。
そこで、税法上はどのように交際費を扱っているのか、個人事業主、中小法人、大法人別に見ていきたいと思います。

事業規模による「交際費」の扱いの違い

個人事業主

個人事業主の交際費には経費算入限度額がありません。したがって、事業に関係する支出であればすべて必要経費として計上できます。飲食費等で事業に関係することを証明するためには、誰とどのような目的で飲食したかを明確に記録しておくことが考えられます。

中小法人(資本金1億円以下の法人) ※資本金5億円以上の法人の100%子会社を除く

法人における交際費は会計上は当然に費用として計上しますが、税務上は原則として経費とは考えず、損金として認められていません。しかしながら、中小法人の交際費には800万円の損金算入限度額が設定されています。
また、選択適用により交際費のうち、接待飲食費については、50%損金算入することができるため、中小法人の場合は年間1,600万円超の接待飲食費がある場合は、接待飲食費の50%損金算入を選択した方が有利となります。

大法人(資本金1億円超の法人)

大法人においては、原則として交際費は全額損金不算入ですが、平成26年4月1日以後開始事業年度より交際費のうち、接待飲食費について50%損金算入が可能となっています。

上記を頭に入れて「交際費」のバランスを意識しましょう。

交際費は、事業関連性と通常の損金として認められる費用との区分がポイントとなる勘定ですが、上記のように、損金算入額については個人事業主・中小法人・大法人の別で扱いが異なります。事業を継続する上で欠かすことのできない交際費ですが、頭の片隅で税金とのバランスを意識することも必要かもしれません。

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