(個人事業向けの節税対策 その1)「青色事業専従者給与」を検討してみよう

「青色事業専従者給与」とは、個人事業において、青色申告者が、家族等に支払った給与が経費として認められる制度です。
原則として、家族等に支払った給与は、個人事業の経費にはなりませんが、一定の要件を充たせば経費として認められます。上手に専従者給与を設定することで、所得の分散が図れます。結果として適用税率が下がるため所得税額が下がる(節税)効果があります。

節税効果をイメージ

事業所得1,200万円の方が専従者給与500万円を支払った場合と専従者給与の支払いがない場合の所得税額を比較してみます。(その他の所得はないものとします)

専従者給与有りの場合

事業主 専従者 合計
課税標準 5,970,000 3,080,000 9,050,000
所得税及び復興税 782,500 214,900 997,400
住民税 599,500 310,500 910,000
事業税 205,000 0 205,000
税額合計 1,587,000 525,400 2,112,400

専従者給与無しの場合

事業主 専従者 合計
課税標準 10,970,000 0 10,970,000
所得税及び復興税 2,127,800 0 2,127,800
住民税 1,099,500 0 1,099,500
事業税 455,000 0 455,000
税額合計 3,682,300 0 3,682,300

事業主課税標準は青色控除(65万円)、基礎控除(38万円)控除後の金額です。
専従者課税標準は給与所得控除、基礎控除(38万円)控除後の金額です。

上表から、3,682,300円-2,112,400円=1,569,900円の節税となります。

「青色事業専従者給与」制度を利用する上での注意点

・原則として専従者は他でアルバイト等ができませんので、その収入を見込んだ上での 制度利用の判断をする。

・配偶者控除の利用ができなくなるため、38万円より上で給与を設定する。

・専従者が行う業務内容に応じた給与設定にする(求人誌により同様の業務内容の給与水準を参考にして設定、約10万円を超えると税務署から内容を確認される場合があります。)

・社会保険料の負担額も考慮して判断する。

「青色事業専従者給与」の要件

・「青色事業専従者給与に関する届出書」を所轄の税務署に提出期限までに提出すること
(原則として、適用を受けようとする年度の3月15日まで、1月16日以降創業や専従者が増えた場合は2カ月以内)

・「青色事業専従者」の要件を充たした方に給与等を支払うこと。
要件は、

(A)青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること

(B)年齢が15歳以上であること(その年の12月31日現在)※

(C)原則、年間6ヵ月(つまり2日に1日以上)を超えて、青色申告者の事業に専念していること
※15歳以上であっても学業に専念する大学生・高校生は、原則として専従者にはなれません

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